涙色の死神と巫女と妖怪と
菫の言葉に瑠依は苦笑し、沙月は「さっきの御札、どこで……」と瑠依を見つめた。

「ん?あぁ、僕の母さんからもらったの……母さん、陰陽師なんだよね」

「陰陽師ってことは、瑠依くんも霊術使えるの?」

「いや、霊術は教えてもらってないんだよね……式神だけは上手く扱えるようになれって言われて、それだけは覚えたよ。思い通りに式神を飛ばせるようになるまで、大分時間が――」

『瑠依。悪霊の親玉が近づいて来ているぞ……急げ』

瑠依と沙月が話していると、瑠依の頭に静瑠の声が響く。瑠依が不自然に会話を止めてしまったため、沙月は「瑠依くん?」と心配そうに瑠依を見つめ、葉月は不思議そうな顔をした。

「……のんびりしている時間はなさそうだ。悪霊の親玉が、僕らの方に近づいて来てるらしい」

そう言って、瑠依は走り出す。らしい、という言葉に疑問を浮かべつつ、嵐猫は「追いかけよう」と瑠依の後を追いかけた。



瑠依は刀を構え、目の前にいる悪霊の親玉を見据えていた。

沙月は悪霊の親玉を見て恐怖で体が震え、沙月を守るように葉月が立つ。その近くでは、妖怪たちが戦闘態勢になっていた。

菫は短剣の柄を強く握り締め、強そうな巨大な悪霊の出方を窺っていた。
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