涙色の死神と巫女と妖怪と
(……あの悪霊が放つ圧は何だ?今まで戦ってきた悪霊とは、比べ物にはならないくらいの圧だな。見た目は何回か見てきたものなのに……まさか、そんなことって……)

『んなわけ……そうだとしたら、厄介じゃねぇか』

「静瑠!!」

1人で色々と考え込んでしまった静瑠は、急に名前を呼ばれたことで我に返る。

『何だ』

「何だ、じゃないって。何、1人でぶつぶつ言ってんの……何か考え事?」

『……あぁ。あの悪霊について、ちょっとな』

「……あの悪霊がどうかしたの?それに、何が厄介なの?」

「瑠依くん……?」

急に誰かの名前を呼んだと思ったら、急に1人で誰かと会話をするように話し始めた瑠依を、葉月は、頭大丈夫かよこいつ、と言いたげな目で見た。

(……俺の声が皆に聞こえているか、頭の中で会話出来たらありがたいのにな)

静瑠はそう思いながら、瑠依に『俺を実体化してくれ』と頼む。

瑠依はすぐに「分かった」と頷くと、私服のポケットからキーホルダーを取り出した。

「静瑠」

静瑠の名前を呼び、瑠依はキーホルダーを宙に投げる。キーホルダーが光り、光が収まるとそこには青みがかった黒髪の静瑠の姿があり、瑠依、紫乃、菫を除いた全員が驚いた。
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