涙色の死神と巫女と妖怪と
静瑠はそう言うと、再び本に視線を戻した。沙月は静瑠の言葉に安心すると、瑠依が1人で話し出したことを思い出す。

「あ、瑠依くんがさっき話してたのって……静瑠くん?」

「……あぁ」

「静瑠くんが見ているその本は?」

「これは、僕の武器だよ。この本には、たくさんの呪術が載っているんだ。まぁ、普通の死神が扱えない呪術を扱える者だけしか読めないけど」

静瑠の代わりに、紫乃が説明をした。静瑠は「あった」とめくっていた手を止める。

「あぁ、この呪術か。1人でやろうとすると、時間かかりそうだね」

本を覗き込みながら、紫乃は呟いた。沙月は気になって本を覗き込んでみるが、ページは白紙になっており、首を傾げる。

「……これは、悪霊の動きを止める強力な呪術だ。霊術を扱える者と妖怪の力が必要だ。手伝ってくれるか?」

静瑠はそう言うと、悪霊と戦っている皆へと目を移した。沙月は葉月に、紫乃は瑠依に目を移す。

(……葉月……いや、嵐猫たちも苦戦している……それどころか、あの悪霊……傷1つ付いていない……怖い、けど……私、やらなくちゃ!)

「静瑠くん!私、何をしたらいい?」

静瑠の方を向きながら、沙月は言う。その言葉を聞いた静瑠は、ニヤリと笑った。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop