涙色の死神と巫女と妖怪と
「……っ!」
急に悪霊の動きが止まり、瑠依は静瑠の方へと顔を向ける。静瑠は強力な呪術を使う時に必要になる貴重な道具を持っていて、瑠依は小さく笑った。
(こんな呪術を成功させるなんて……やっぱり、静瑠はすごいや。紫乃の持つ本もすごいけどね……あの本の内容は、ライラ様と静瑠、それから僕、紫乃、菫しか読めないらしいし)
そんなことを考えながら、瑠依は悪霊に近付くと勢いよく刀を薙ぎ払う。悪霊は光に包まれると、瑠依の腕に付けられたブレスレットの中に入っていった。
瑠依は大きく溜め息をつくと、刀を消す。
「いや~!お見事お見事!」
どこからか声がして声がした方を、皆は一斉に見た。そこには、洋服と和服を混ぜた格好をした男性――スサノオがいた。
「スーさん!」
「スサノオ!」
その姿を見た妖怪や沙月はスサノオに駆け寄り、葉月はあからさまに嫌そうな顔をする。
「あ、沙月ちゃん!今日も可愛いねぇ~」
そう言って沙月を見るスサノオを睨み付けながら、葉月は「来るのが遅せぇよ」と言った。
「……お、君たちは死神かな?ちょうどいい。さっき君たちが戦っていた悪霊の親玉はね、本来は亡くなってすぐに天国に行くはずだったんだ。でも、たまたま都に流れ着いてしまって悪霊化したみたいだよ」