涙色の死神と巫女と妖怪と
瑠依のもう1つの人格である静瑠の声が頭に響き、瑠依は「……分かってる」と呟いた。

「とりあえず、瑠依、菫……逃げよう。僕らだけじゃ、倒せそうにない」

紫乃の言葉に、瑠依と菫は同時に頷くと走り出す。人通りのない道に入った時、瑠依たちを追いかけていた悪霊は、瑠依を蹴り飛ばすと飛ばされた瑠依を追いかける。

「……瑠依！」

紫乃が後ろを走っていた瑠依の方を見た時には悪霊も瑠依の姿もなく、紫乃は立ち止まって走って来た方向を見つめる。

紫乃は、瑠依の無事を祈るしか出来なかった。



悪霊に蹴り飛ばされた瑠依は、体勢を整えると必死に走る。ふと後ろを見てみると、悪霊の姿は消えていて、瑠依は立ち止まると首を傾げた。

『こんな若い子を襲うなんて、美しくもない……』

誰かの声が聞こえた気がして、瑠依は辺りを見渡す。

「……誰も、いない……？」

キョロキョロと辺りを見渡しても誰もおらず、瑠依は不思議そうな顔をした。

「……それにしても、ここはどこだ？紫乃たちは、どこに行ったんだ？」

もう一度辺りを見渡すが紫乃と菫の姿が見当たらず、瑠依は一瞬で迷子になってしまったことを悟る。
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