涙色の死神と巫女と妖怪と
「何でもねぇよ」

いつの間にか葉月の隣に座った沙月に話しかけられ、葉月は顔を真っ赤にしながら沙月から顔を背ける。

「……沙月は、気が付いた?さっき、沙月と話していたあの子の気配が、異質だってことに」

「気付いてないだろ。嵐猫の言葉を聞いて、え!?そうなの!?とか思ったんじゃないのか?」

葉月の言葉に図星を刺され、沙月は何も言えなくなり「うっ……」と声を漏らした。

「とにかく、あいつは人間であり人間じゃない可能性がある」

「人間であり人間じゃない?悪霊に取り憑かれているのかな?」

「その可能性は、低いだろうね」

襖が開いて出てきたのは、九尾の狐のキングだった。

「さっき出かけていた時、あの子……悪霊に襲われていた。あの悪霊は、この僕が祓ったけど。人間に取り憑いた悪霊を、悪霊が狙うかな?」

「……た、確かに……」

「沙月。俺らもショッピングモールに向かうぞ……嫌な予感がする」

葉月の言葉に、沙月は頷いた。



私服に着替えた沙月と葉月は、出来てから何回も2人で足を運んだショッピングモールに来ていた。

「瑠依、心配したんだからね」

「……ごめん……」

そんな会話が聞こえてきて、沙月は声がした方へと目を向ける。そこには、沙月にとって見覚えのある男の子がいた。
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