涙色の死神と巫女と妖怪と
沙月が問いかけると、嵐猫は「都を救ってくれ」と慌てたように言うと、急いで都へとワープする。

急に目の前が変わったことに驚いている瑠依たちに気付くことなく、嵐猫は「都で、急に悪霊が暴れ出して!妖怪だけじゃ抑えることが出来なくて……」と沙月と葉月に説明をする。

瑠依はすぐに冷静になって、辺りを見渡した。ここを中心に悪霊が取り囲んでいて、中心にいる妖怪が悪霊に必死に攻撃を放っていた。

「コロッケエエエエ!!」

そんな声とともに火柱が上がり、その一言を耳にした瑠依は思わず「は?」と声を出してしまった。

「……コロッケと火柱って関係無さそうだけどね」

菫はそう言って苦笑すると、紫乃に目を移す。

「……話は変わるけど、恐らくあの悪霊を従えている親玉がいるはずだ。紫乃、君の呪術を使って索敵をしてくれない?瑠依、説明を頼んだ」

菫の言葉に、紫乃は頷くと呪術を使って本を作り出した。本を開いて、紫乃は目を閉じる。瑠依も頷くと、沙月たちに目を移した。

「都に来てみたら、もう悪霊に囲まれていてすぐに沙月と葉月を呼びに来たんだ。頼む!手伝ってくれ!」

「分かった!」

沙月は頷くと、私服のポケットから数枚の御札を取り出した。

「……待って。君たちが何者か分からないけど、無闇に悪霊を浄化しても意味と思うよ」

瑠依は白い光を放つブレスレットを腕に付けながら、沙月たちに近付く。
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