涙色の死神と巫女と妖怪と
「瑠依くん!?どうして、ここに……」

「知らないよ。気が付いたら、ここにいた」

そう言って、瑠依は辺りを見渡すと沙月たちに視線を戻した。

「話を戻すけど、恐らくここのどこかに悪霊の親玉がいるはずだ。見てよ、悪霊たちはどこか連携を取っているように見えない?」

瑠依の言葉に、沙月と葉月は悪霊を見つめる。葉月の目には、妖怪たちの攻撃から、仲間の身を守るように悪霊は攻撃を弾いている……ように見えた。

「……悪霊が連携を取って戦うなんて、ありえねぇ。こんな戦い方、悪霊に出来るはずが……」

葉月の言葉に、嵐猫は「確かにな」と悪霊を見つめながら呟く。

「瑠依」

悪霊を見つめる皆を静かに見つめていた瑠依は、紫乃に私服の袖を軽く引かれて、紫乃の方を向いた。悪霊の親玉の居場所が分かったらしく、それを瑠依に伝える。

「……そこの猫さん、親玉の居場所が分かったみたいだよ?」

瑠依が嵐猫に話しかけると、嵐猫はゆっくりと瑠依の方を向いた。

「この近くにある古い屋敷付近にいる……らしいんだけど、どこか分かる?方向だけでも教えて」

「……あぁ、あそこか……あっちだ。何をするつもり?」

そう言いながら、嵐猫は尻尾で方向を示す。
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