天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
寝不足な顔をパチンと叩いて、私は気合いを入れ直した。
外で昼食を済ませて家に戻ると、何やらものすごい空気が漂っていた。
今日は優弦さんがお休みの日だから、女中の人たちは朝から色めき立っていたというのに、物音が全くしない。
しん……と静まり返った家に違和感を抱きながらも、私は恐る恐る居間に顔を出した。
そこには、優弦さんと五人の女中、そして井之頭さんが集まって座っていた。
女中たちは俯きながら、絶望の表情を浮かべていて、優弦さんたちも難しい顔をしている。
何……? いったい何があったと言うの……?
開けっ放しだった障子からひっそり覗いていたつもりだったけど、バチッと優弦さんと目が合ってしまった。
「世莉。おかえりなさい」
「は、はい……」
「今少しだけ時間はあるかな」
優弦さんと会話をしたのは、あの夜以来だ。
私は警戒しながらも、優弦さんの言われた通り、彼の隣に座った。
目の前に横並びになっている女中たちは全員、キッと私を恨めしそうに睨んでいる。
「優弦様、本当に信じてください! 私達は決して世莉様を陥れようとしたことなどありません」
百合絵さんが必死の演技で優弦さんに訴えかけているのを見るに、もしかして、今までの悪事を暴かれていたのだろうか。
――まだ何もできない理由があったんだ。証拠が必要で。
あのときの優弦さんの発言は、まさかこのことについてだったのか。
驚いた顔で隣にいる優弦さんを見ると、彼は毅然とした態度で数枚の写真を並べた。
そこには、女中たちが私に腐ったもの混ぜている様子や、足を引っかけている様子、着物を盗んでいる様子などがばっちり映っていた。
いつのまにこんなものを……?
「全て井之頭が撮ったものだ」
顔面蒼白となっている女中達に向けて、優弦さんは残酷にもそう言い放った。
さすがにこれだけの証拠が残っていたら、何も言い訳はできないだろう。
井之頭さんは完全に私を敵視していると思ったのに……。ということは、あれは全て演技だったのだろうか。
一番若い女中がついに泣きだし、「全て百合絵さんに指示されただけなんです」なんて言い出した。百合絵さんはその女中のことを鬼のような形相で睨みつけている。
「何も言い訳できないね」
「ゆ、優弦様、私達は……相良家のためを思って……」
「どんな風に?」
外で昼食を済ませて家に戻ると、何やらものすごい空気が漂っていた。
今日は優弦さんがお休みの日だから、女中の人たちは朝から色めき立っていたというのに、物音が全くしない。
しん……と静まり返った家に違和感を抱きながらも、私は恐る恐る居間に顔を出した。
そこには、優弦さんと五人の女中、そして井之頭さんが集まって座っていた。
女中たちは俯きながら、絶望の表情を浮かべていて、優弦さんたちも難しい顔をしている。
何……? いったい何があったと言うの……?
開けっ放しだった障子からひっそり覗いていたつもりだったけど、バチッと優弦さんと目が合ってしまった。
「世莉。おかえりなさい」
「は、はい……」
「今少しだけ時間はあるかな」
優弦さんと会話をしたのは、あの夜以来だ。
私は警戒しながらも、優弦さんの言われた通り、彼の隣に座った。
目の前に横並びになっている女中たちは全員、キッと私を恨めしそうに睨んでいる。
「優弦様、本当に信じてください! 私達は決して世莉様を陥れようとしたことなどありません」
百合絵さんが必死の演技で優弦さんに訴えかけているのを見るに、もしかして、今までの悪事を暴かれていたのだろうか。
――まだ何もできない理由があったんだ。証拠が必要で。
あのときの優弦さんの発言は、まさかこのことについてだったのか。
驚いた顔で隣にいる優弦さんを見ると、彼は毅然とした態度で数枚の写真を並べた。
そこには、女中たちが私に腐ったもの混ぜている様子や、足を引っかけている様子、着物を盗んでいる様子などがばっちり映っていた。
いつのまにこんなものを……?
「全て井之頭が撮ったものだ」
顔面蒼白となっている女中達に向けて、優弦さんは残酷にもそう言い放った。
さすがにこれだけの証拠が残っていたら、何も言い訳はできないだろう。
井之頭さんは完全に私を敵視していると思ったのに……。ということは、あれは全て演技だったのだろうか。
一番若い女中がついに泣きだし、「全て百合絵さんに指示されただけなんです」なんて言い出した。百合絵さんはその女中のことを鬼のような形相で睨みつけている。
「何も言い訳できないね」
「ゆ、優弦様、私達は……相良家のためを思って……」
「どんな風に?」