天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「お仕事は忙しいですか? 今日は大きな手術があったと聞きましたが」
「ああ、井之頭から聞いたのかな?」
「はい。意外と気さくに話してくださいますね、井之頭さん」
いつの間にそんなに仲良くなっていたのだと、心の奥底で嫉妬の火を燃やす。
世莉はそんな俺の心情には一切気づかずに、パクパクと寿司を口に運んでいる。
井之頭の話題から逸らすために、俺は今日メインの話題にしようと思っていたことを話すことにした。
「世莉、ドラマの衣装作成には興味はある?」
「え……?」
「この前、今テレビ局に勤めている、大学時代の知り合いから急にメッセージが来てね。時代劇の衣装を本格的に任せられる人を探しているって」
雪島家と繋がりあることを知っていた友人だから、この話を持ち掛けてきたのだろう。
どうやらいつも頼んでいたベテランの和裁士が倒れてしまい、代わりの人を探していたのだとか。
その話を聞いて、すぐに世莉のことが頭に浮かんだ。
彼女がこの仕事に興味があるかどうかは分からないけれど、訊いてみる価値はあるのではないかと思った。
「ほ、本当ですか……⁉」
目の前にいる世莉は一瞬固まってから、今まで一度も見たことないほど目を輝かせた。
想像以上に喜んでいる世莉の姿に驚き思わず言葉を失っていると、彼女はいつも以上に饒舌に語りだす。
「祖母が亡くなってから、そういった仕事との縁はすっかり切れてしまって……どうしたものかと思っていたんです」
「え……」
「もちろん今頂いている仕事も大切です。ですが、もし雪島家の名をもう一度広めるチャンスがあるのなら、全力で挑みたいです……!」
身を乗り出すほどの勢いで語る世莉を見て、目をぱちぱちとしばたたかせた。
そんな俺の様子で正気に戻ったのか、世莉は急に口を閉ざして、「すみません……」と恥ずかしそうにつぶやいた。
彼女に少しでも何かできたらと思っていたけれど、まさかそこまで嬉しがる様子が見れるだなんて……。
想像以上に可愛い反応を見れて、俺はすでに捧げた以上のものをもらってしまった。
「分かった。じゃあ、話は繋いでおこう」
「ありがとうございます……!」
また、パッと明るい笑顔を見せてくれた世莉に、心臓が跳ねる。
こうして少しでも、彼女の役に立てたなら……。
「ああ、井之頭から聞いたのかな?」
「はい。意外と気さくに話してくださいますね、井之頭さん」
いつの間にそんなに仲良くなっていたのだと、心の奥底で嫉妬の火を燃やす。
世莉はそんな俺の心情には一切気づかずに、パクパクと寿司を口に運んでいる。
井之頭の話題から逸らすために、俺は今日メインの話題にしようと思っていたことを話すことにした。
「世莉、ドラマの衣装作成には興味はある?」
「え……?」
「この前、今テレビ局に勤めている、大学時代の知り合いから急にメッセージが来てね。時代劇の衣装を本格的に任せられる人を探しているって」
雪島家と繋がりあることを知っていた友人だから、この話を持ち掛けてきたのだろう。
どうやらいつも頼んでいたベテランの和裁士が倒れてしまい、代わりの人を探していたのだとか。
その話を聞いて、すぐに世莉のことが頭に浮かんだ。
彼女がこの仕事に興味があるかどうかは分からないけれど、訊いてみる価値はあるのではないかと思った。
「ほ、本当ですか……⁉」
目の前にいる世莉は一瞬固まってから、今まで一度も見たことないほど目を輝かせた。
想像以上に喜んでいる世莉の姿に驚き思わず言葉を失っていると、彼女はいつも以上に饒舌に語りだす。
「祖母が亡くなってから、そういった仕事との縁はすっかり切れてしまって……どうしたものかと思っていたんです」
「え……」
「もちろん今頂いている仕事も大切です。ですが、もし雪島家の名をもう一度広めるチャンスがあるのなら、全力で挑みたいです……!」
身を乗り出すほどの勢いで語る世莉を見て、目をぱちぱちとしばたたかせた。
そんな俺の様子で正気に戻ったのか、世莉は急に口を閉ざして、「すみません……」と恥ずかしそうにつぶやいた。
彼女に少しでも何かできたらと思っていたけれど、まさかそこまで嬉しがる様子が見れるだなんて……。
想像以上に可愛い反応を見れて、俺はすでに捧げた以上のものをもらってしまった。
「分かった。じゃあ、話は繋いでおこう」
「ありがとうございます……!」
また、パッと明るい笑顔を見せてくれた世莉に、心臓が跳ねる。
こうして少しでも、彼女の役に立てたなら……。