不妊の未来
その質問に対して茉由は適した答えを持ち合わせていない。

たしかに大和はホームページに顔が載るなり、芸能人顔負けの容姿がネット上で話題になったほどのイケメン医師だ。

反面、『イケメン過ぎて内診されるの恥ずかしい』とのコメントも上がったけど、そこは患者に対する真摯な姿勢と器用さが功を奏し、今では大和の容姿云々関係なく、予約の取れない優秀な医師として有名になった。

ただ優秀過ぎるが故にスタッフに求めるレベルは高く、ついていけないと辞めるスタッフは少なくない。

プライベートな会話だってほとんどしないから距離を縮めるのがとても難しいし。

忘年会では恋人はいないような話だったが、大和が断言したわけではなく、恋心を抱いたとして成就する可能性があるのかないのかさえわからない。

目の保養として見ているスタッフはいても、本気で狙っているスタッフが果たしているのかいないのか。


茉由「ごめん。私にはよくわからないわ」


茉由が答えると杏菜はニコリと微笑んだ。


杏菜「鷲尾さんがライバルじゃなければ問題ないです」

茉由「それって」

どういう意味なのか茉由は聞こうとした。

でも培養室の隣にある処置室から声が聞こえたので会話は中断。

茉由は杏菜と一緒に処置室へ向かう。

すると処置室の入り口から上下青色の手術着に身を包んだ大和が立っていた。

< 15 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop