不妊の未来
○某テーマパーク(朝)
平日と言っても人気のテーマパークなのでそれなりに賑わっている。
入場するのに並ぶ茉由と理玖。
茉由「久しぶりだからなんだかドキドキするね」
すでに興奮気味の茉由を見て理玖は苦笑する。
理玖「最後に来たのは結婚する前だもんな。茉由、昨日楽しみで寝てないだろ?」
茉由「よく分かるね」
理玖「茉由が遠足とか楽しみなことがある前日に眠れない子だって事くらいちゃんと知ってるさ」
理玖はきっと茉由のことを親よりも知っている。
そのことを茉由は知れて口元が緩んだ。
茉由「理玖さんも楽しみにしてたでしょ?」
茉由が理玖の顔を覗き込み、それから理玖が背負っている鞄を見る。
茉由「攻略本入れてるの、知ってるんだから」
理玖「バレたか」
理玖は鞄から本を取り出し、茉由に見せる。
理玖「前に来た時とシステムが随分違うんだよ」
茉由「ほんとだ」
本を覗き込み、理玖の説明を聞く茉由。
とその時。
ドンッ
茉由の背後から腰の辺りになにかが当たった。
茉由と理玖が揃って振り返り見下ろすと幼稚園児くらいの男の子が尻餅をついていた。
茉由「大丈夫?」
男の子に手を差し出す茉由。
でも男の子は茉由の手を取らず、ダーっと走っていく。