不妊の未来
店員「バスタオルのセットや知育玩具、あとはオルゴール入りのぬいぐるみなどいかがでしょう?」
理玖「なるほど」
相槌を打ちながら理玖は店員さんに言われたものを手に取っていく。
その様子を茉由が見ていると店員さんが声をかけてきた。
店員「ご主人すごく真剣に考えていらっしゃるんですね」
茉由「そうですね」
茉由が相槌を打つと店員は茉由のお腹辺りに視線を下げる。
店員「予定日はいつ頃なのですか?」
茉由「え?…あ、違います!私ではありません!知り合いへの贈り物で」
店員「え?そ、それは失礼いたしました!」
頭を下げる店員さんに茉由は頭を上げてもらえるよう言う。
茉由「今の流れだと私が妊婦だと思われても不思議じゃないですから」
店員「いえ、とても失礼なことをしてしまいました」
茉由「本当に気になさらなくて大丈夫ですから。それに私たちだっていずれは、って考えていますし」
茉由の言葉を受けて店員は眉根を寄せて微笑んだ。
店員「本当に申し訳ありませんでした。ご懐妊されることをお祈りしています。そしてその際にはまたお声がけください。赤ちゃんにとって最適な贈り物をお伝えできるようしっかりと勉強しておきますので」
茉由「ありがとうございます」
店員さんの心遣いに感謝する茉由。
でもそんな日が果たして来るのかとも茉由は疑問に思った。
ただ、今日1日を通して茉由が理玖に子供を与えてあげたいと思う気持ちは強くなっていた。
茉由(幸いなことに知識があるし、そろそろ本格的に動き始めてみてもいいかもしれない)
子供用品を選んでいる理玖の背中を見て茉由は行動することを心に決めた。