不妊の未来
○医局(夜)
大和はソファーに腰掛け、茉由とのやりとりを思い返していた。
大和「まさか彼女が妊娠を希望していたなんて」
土日にすすんで出勤していたし、茉由の仕事熱心ぶりからはこの仕事がとても好きなのだと感じさせられていた。
知識量も多く、技術力もあった。
先を正確に読む仕事をする優秀なスタッフ。だがそれは一朝一夕に身につくものではない。
大和は茉由の努力、それから周りを見れる柔軟な対応力を最大限に評価していた。
その上、茉由はとても美人で、でも今日のハイタッチにあるように無邪気な子供のような姿も見せる。
大和が茉由に惹かれるのは必然的なことだった。
しかし接点は少なく、プライベートな会話は皆無。
元々忙しさもあって大和は恋愛に時間を割いてこなかった。
仕事好きの茉由も同じだろうと思ってもいた。
それなのに。
茉由が既婚者だという話を聞かされたのは一年前くらいのことだった。
衝撃はこの世の終わりかと思うほどのもので、その時に改めて大和の中で茉由の存在が大きくなっていたことに気づかされた。