不妊の未来
第七章
○茉由自宅(夜)
数日後。
玄関には生命力を高めるための暖色系の生花を飾り、ベッドカバーやシーツ、寝室のカーテンや布団カバーは淡いピンク色に。
寝室の北側にはざくろの置物と盛り塩を置いた。
さりげなく、少しずつ。
茉由の無言の訴えが部屋の様子を変える。
理玖「ただいま」
新しく買ったであろう玄関マットに理玖の視線は向く。
最近の部屋の変わりように気づきながらもなんてことないように声を上げる。
理玖「お腹すいたー。今日の夕飯なに?」
茉由「今日は奮発してウナギだよ」
メニューを耳にして、茉由の言いたいことが手に取るようにわかった理玖。
でもわかったところで理玖はいい気持ちしない。
理玖「先にお風呂入ってきてもいいかな?」
理玖は風呂に入ってモヤモヤとした気持ちを整理したかった。
茉由「あまり温まりすぎないようにね」
理玖「……あぁ」
呟くように答え、理玖は風呂場へ向かう。