不妊の未来
それでも茉由の不安は拭えなかった。
友達から妊娠報告があったり、芸能人が妊娠したり、難治性の患者が妊娠できたりすると途端に焦り出し、子供がほしくなるのだ。
そのたびに茉由は無言のアクションを起こし、理玖は素知らぬ顔でやり過ごす。
普段は全然と言っていいほど求めてこないのに、子作りのタイミングでのみ求めらても気持ちはのらない。
だからと言って茉由のことを嫌いになったわけじゃない。
茉由のことを変わらず好きで、愛している。
ただ、今はもう触れるのが怖い。
期待させ、期待されるのが怖かった。
結婚してすぐに妊娠出来ていたら打ち当たらなかった問題に、夫婦それぞれが悩みを抱えている。
理玖「でも今のままじゃどっちにしろダメだ」
茉由のことを嫌いになりたくはない。
帰宅したくないと自身が思い始る前に。
茉由とは一度きちんと話すべきだと決意した理玖は熱いシャワーを浴びて気を引き締めた。