不妊の未来

院長「大和先生ー。取りに来なさーい。そしてこの宿泊券使いなさーい…って大和先生は一緒に旅行にいくような相手、いるんだっけか?え?いない?なんてかわいそうな男だ!誰かー!大和先生と旅行に行ってくれる心優しい女性いないかー?」


酔っ払っている院長はマイクに乗せてとんでもないことを言い始めた。

そして同じく酔いの回っている女性たち、それと中には本気の女性たちが手を挙げ始めている。
そんな光景を前に、大和は目を閉じ、眉間に手を当てた。


茉由「なんか、すみません」


大和がこうなることをわかっていて『替えてあげましょう』と言ったのだと、意味を理解した茉由は謝罪を口にする。


茉由「私、地声が大きくて。本当にすみません」


茉由が謝ると大和はチラッと茉由の方を見る。
それから眉根を寄せて微笑み、身を屈めて茉由の耳元で囁いた。


大和「一緒に行ってくれるなら許してあげますよ」

茉由「え?」


茉由がパッと顔を向けると視線が交差した。

瞬間、時が止まったかのような気がしたけど茉由は首を傾げて大和に訊ねる。


茉由「今なんておっしゃったんですか?」


茉由に聞かれて、大和は困ったように笑うと屈めていた体を起こし、後頭部を掻いた。

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