不妊の未来
茉由「仕方ないです。夫婦の意見のすれ違いってよくあることじゃないですか。我が家もそのパターンだったみたいで。だから私は子供を諦めるしかないみたい…!?」
大和は茉由の体に手を伸ばし、グッと自身の方へと抱き寄せた。
茉由「え?や、大和先生?!」
突然のことに動揺する茉由。
身動ぐと大和先生がさらに力を込めて茉由の体を抱きしめた。
大和「僕ならそんな顔させない」
茉由「え?」
大和「僕ならあなたの願いを叶える努力をします」
茉由は大和の言葉にドキッとさせられた。
茉由が理玖から欲しかった言葉だったから。
でも現実的ではない。
茉由「先生、苦しい、です」
それにほかのスタッフに見られたら困る。
離してくれるようさらに身動ぎ、訴えると大和先生は茉由を抱きしめていた腕を解いた。
でもその手は茉由の肩に乗り、身を屈めて視線を同じ高さにして、茉由の目を真っ直ぐに見つめた。
至近距離で見つめられ、鼓動を早める茉由。
視線を外すことで気持ちを落ち着かせようとするも、それより早く大和先生の口が開いた。
大和「鷲尾さん。今すぐ離婚して僕と結婚しましょう。そして子供を作る。僕の子供を産んでください」
茉由「……え?!」
大和「僕と新しい家庭を作っていきましょう」
大和に真っ直ぐ見つめられ、茉由の心臓はバクバクと強く打ち付ける。
茉由が理玖に伝えた言葉が脳裏をよぎる。
茉由『私と離婚してください。私は私に子供を授けてくれる人と再婚します』
まさかこのタイミングでと思わずにいられない。
目の前に茉由の願望を叶えてくれる人が現れたのだから。