不妊の未来
大和「聞こえなかったですか?」
茉由「すみません」
大和「いえ。大したことではなかったので」
それでも気になる茉由はもう一度聞こうとした。
でも壇上にいる院長の声がそれを止める。
院長「大和せんせーい!取りに来なさーい!」
院長にマイク越しに言われて、大和は茉由に小さく頭を下げてから壇上へと向かった。
茉由は大和の背中を見て、それから同僚の輪の中に戻る。
同僚「大和先生と何話していたの?」
茉由「よく聞こえなくて。何話していたのか分からないです」
同僚「ハハ。なにそれ」
同僚は酔っているのか、笑い上戸なのか。
どちらにしろさほど面白くもないはずなのに、手を叩いて笑っている。
茉由「そんなに面白いですか?」
同僚「面白い、面白い!でも他にもっと面白い話をしてあげましょうか?」
同僚は酔った流れで色々とプライベートなことを話してくれた。
でもどれも笑える話ではなく。
茉由と、一緒に話を聞いていた同僚は反応に困り、苦笑いを浮かべていた。