不妊の未来

杏菜「あの、鷲尾さんはどうして結婚したんですか？」

茉由「好きで一緒にいたいと思ったから、かな」

もはやなにが正解なのかわからない茉由は首を傾げながら答えた。

杏菜「ならそれでいいんじゃないんですか？」

杏菜も茉由同様、首を傾げて答える。

杏菜「一緒にいるだけじゃダメなんですか？」

なにも答えない茉由に杏菜は話を続ける。

杏菜「ご主人は鷲尾さんがいてくれればそれでいいって思っていると思いますけど。鷲尾さんはそうじゃないんですか？」

茉由「私は彼との子供がほしいの」

杏菜「なんのために？」

茉由「なんのため？」

杏菜の言葉が意外で茉由は復唱した。
杏菜は頷き続ける。

杏菜「親に孫の顔を見せてあげたいから？世間体？血縁の繋がりを作って別れないようにするため？女だから？自分の存在意義のため？後悔したくないから？」

茉由はどれも合ってそうで違う気がして返答に困る。
そんな茉由を見て杏菜は言う。

杏菜「どんな理由であれ、鷲尾さんの気持ちはちゃんと伝えてあるんですか？」

茉由「伝えてはあるけど」