不妊の未来
大和「番号交換しておいてよかったでしょう?」
茉由「そうですね」
苦笑いの茉由。
そんな茉由と大和を交互に見る杏菜。
杏菜の視線に気づいた大和は杏菜に声をかける。
大和「三崎さん、講演内容は勉強になりましたか?」
杏菜「それは、はい!もちろん!はるばる京都まで来てよかったです!」
大和「それはよかった。益田も喜びます」
益田というのは大和の友達で講演をした医師で話がとても上手かった。
大和「そうだ。これから益田と食事に行くのですが、二人もどうですか?」
杏菜「いいんですか?!」
杏菜のテンションが上がった。
茉由「パフェはいいの?」
茉由がこっそり杏菜に聞くも、杏菜は首を横に振り、食事に行くと言う。
杏菜「こんなチャンス滅多にないですからっ」
杏菜の気合の入った様子に茉由は杏菜のことを可愛いと思った。
ただ大和は茉由に気がある。
そのことは杏菜に伝えるべきだろう。
茉由「あのね」
大和が益田を出迎えに行っている間に茉由は杏菜に思い切って話すことにした。
茉由「私、大和先生に」
杏菜「好意を持たれているんですよね?」
茉由「え?!」
驚く茉由に、杏菜は眉根を寄せて困ったように微笑んだ。
杏菜「見ていればわかります。それに大和先生ってプライベートの番号を誰にも教えないのに、鷲尾さんには教えているんですもん」
茉由「でも私は」
茉由の言葉を杏菜は手で制す。
杏菜「わかってますよ。ご主人がいますもんね。ましてここは新婚旅行で来た場所。大和先生が鷲尾さんに付け入る隙はない。付け入るのは私の方ですから!」
自信満々の杏菜は茉由にウインクすると、今のうちにメイクを直して来ると言ってお手洗いに行ってしまった。