不妊の未来
○ダイニングキッチン
茉由は冷蔵庫の中身と相談しながら手早く食事の用意をしていく。
理玖「うーん!いい匂いだ」
ダイニングテーブルに料理を運んでいると理玖が風呂から上がってきた。
茉由が手にしているお皿から理玖はつまみ食いをする。
理玖「うん、美味い!」
茉由「行儀悪いー」
理玖「ハハ。ごめんごめん。でも茉由の料理はどれ食べても美味いから我慢できなかった」
褒められて悪い気はしない。
茉由は機嫌よく配膳し、理玖と向かい合わせで食事を取る。
理玖「そういえば今年もくじ引きやったのか?」
茉由「うん。今年の一等は子宝の湯の宿泊券だった」
理玖「ハハ、なんだそれ。接待かなにかで貰ったものなのか?」
笑う理玖に茉由は肩をすくめてみせてから首を横に振る。
茉由「幹事が不妊外来にちなんだものって言って手配したんだって。でも新婚のスタッフは喜んでたよ…って、本当は副院長が当てたんだけどね」
忘年会でのことを理玖に話す茉由。
それを聞いて理玖は首を傾げた。
理玖「副院長って独身?」
茉由「そうだよ。すごくカッコいいし、話しやすいし、患者想いで仕事もできるパーフェクトな人なのに浮いた話を聞いたことがないの。不思議よね。理想が高いのかな?それか高嶺の花過ぎちゃうのかな?」
茉由があれこれ考えながら言うと理玖の手が止まった。
気づいた茉由が理玖の顔を伺う。