不妊の未来
○バー(夜)
茉由と杏菜をタクシーに乗せ、大和と益田は二人で行きつけのバーで飲み直すことに。
カウンター席で隣り合わせで腰掛ける大和と益田。
益田「ふぁーあ」
大きなあくびをする益田。
益田「寝たふりしてたら本気で寝ちゃったよ。それで話はできたか?」
大和は益田の方を見ずに答える。
大和「あぁ」
益田「口説きたい子がいるって…まさか人妻だったとはな」
大和はなにも答えない。
益田「他に女性ならいくらでもいるだろう?」
大和「そうだな。でもダメなんだよ。どうしても彼女でないとダメなんだ」
大和は茉由を思い出し、愛おしそうにグラスを見つめる。
益田「お前…相当惚れ込んでるな。でも他人のものだ。潔く諦めろ」
大和「それは出来ない」
大和は間髪入れずに答える。
大和「彼女が幸せなら諦めもつくがそうじゃないんだ」
益田「俺が幸せにしてやりたい、って?泥沼必須なのに?まったく、重症だな」
益田は苦笑いを浮かべ、それからひと呼吸おいて静かに告げる。
益田「おまえの恋はきっと実らないよ」
大和は静かに益田の話に耳を傾ける。
益田「離婚はそう簡単に出来ないし、それ以前にお前は実家のことがあるだろ」
大和「……分かっているよ」
大和の消え入りそうな声に益田は大和の肩にポンと手を置いた。
益田「ストレス溜まったら話くらいは聞いてやるからな」
大和「お互いにな」
大和は益田を見てに昼な笑みを浮かべると、互いにグラスを合わせ、入っているウイスキーを一気に飲み干した。