不妊の未来
○新幹線車内(回想)
杏菜「なんで寝ちゃったかなー」
大和とせっかく話せる機会だったのに、益田の話とお酌に付き合い、許容量をオーバーして寝てしまったことを悔やんでいる杏菜。
茉由「杏菜ちゃんってお酒弱かったっけ?」
益田や大和のペースに合わせて呑んでしまっていた杏菜。
杏菜「緊張してハイペースで飲んじゃったのがダメでしたね。あーあ。大和先生と話したかったのに」
結局、杏菜はお会計の時になっても起きず、大和が抱えるようにしてタクシーに乗り込ませ、ホテルに着く頃起きた。
杏菜「大和先生に介抱されたなんて!ちゃんと意識あればよかったのに!ただただ恥ずかしいだけですよ。よだれとか垂らしてなかったですか?!」
杏菜は目覚めてから何度も茉由に同じことを確認する。
茉由「大丈夫だよ」
杏菜「大和先生、私のこと意識してくれましたかね?」
茉由「きっとね」
杏菜をお姫様抱っこした大和先生に項垂れ、甘えるような姿はとても可愛かった。
大和だってドキッとしたに違いない。
杏菜「でもきっと鷲尾さんは越えられないんですよね」
杏菜は茉由の方を横目で見て質問を投げかける。
杏菜「先生に口説かれました?」
茉由「え?!」
茉由の反応があまりに露骨だったので杏菜は答えを聞くまでもないと肩を落とした。
杏菜「鷲尾さんって罪な人ですね」
茉由「罪?」
茉由が聞き返すと杏菜は頷き、茉由を見て言う。
杏菜「鷲尾さんは離婚するつもりないんですよね?」
茉由は首を曖昧に、でも小さく縦に振る。
杏菜「それならはっきり断らないと。大和先生に気を持たせるのは罪です」
茉由「それは…うん。そうなんだけど」