不妊の未来
杏菜「鷲尾さんが辞められること、ご存知ですか?」
大和は杏菜をジッと見て低い声で言う。
大和「仕事に集中していなかったのはそれが理由ですか?」
大和に言われて杏菜の顔がひきつる。
それを見ても大和は止めない。
大和「もし今後も同じような仕事しか出来ないのであれば僕の時は担当から外れてもらうようにしますから」
杏菜「そんな……」
泣きそうな顔の杏菜を大和は一瞥するとそのまま背を向け、外来へと歩き出した。
大和「クソっ」
大和は拳をグッと握りしめる。
大和「何なんだよ」
大和は医師として気持ちを切り替え、患者に全力で対応している。
でも集中力が切れると茉由のことが気になって仕方ない。
院長から茉由が辞表を出したと聞かされたのは昨日のことだった。