妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
どう見ても、ビジネス目的とは
思えない格好だ。
こんな自由なタイプのビジネス
マンは、そうはいないだろう。

男はニコッと、天音に笑顔を向けた。

「俺はクオン・タカハラ・・・
ああ、高原久遠だ。
高いに原っぱ、久しいに遠いと
書く。
仕事は、新しいホテル建設の場所を、見つける事、リサーチだ」

笑うと人懐こい、カワイイ笑顔になる。

天音は、あわててスマホを取り出して
「あの、不動産屋さんに連絡しますから・・お待ちください」

「いいよ」
久遠は、パスポートをリュックにしまい、もう一本、たばこに火をつけた。

プー・・プー・・
呼び出し音のあと、あの不動産屋のおっちゃんが出た。

「紅葉(くれは)旅館の天音です。
今、お客様がお見えなのですが・・・
ええ、どうすればいいですか?」

天音は、久遠から視線をはずさず、観察する行為を止めなかった。

背が高く、肩幅があり、がっしりしている。
あの大きな手で、首を絞められたら・・・
終わりだろう・・・
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