妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)

最後の宿泊客

今晩ここで泊まると、
私と二人きりだし・・

食事は・・・どうするか

天音は、躊躇しながらも、
女将の役割をやろうと決心した。

幼い時から、
祖母や母の振る舞いを、見て育ってきた。

女将の英才教育、
それなりにできるはずだ。

「わかりました。お部屋の準備をいたします。
夕食は、鍋になりますが、
よろしいでしょうか。

あと、宿泊料はいただきません。
サービスで結構です。」

部屋は一番いい眺めの良い、
2階の角部屋に決めた。

有名な作家が、長逗留(ながとうりゅう)して、
そこで執筆したという、逸話の
ある部屋だ。

久遠は天音の決意を聞いて、
目じりを下げて、人懐っこく笑った。

「いいね、日本旅館(ホテル)・・
期待してたんだ」

期待できるものは、何もないけれど・・・
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