妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
海外を何回も、相当の距離、移動してきたのがわかった。

数分後
風呂場の戸が、ガラッと開いた。
久遠が、びしょぬれの頭にタオルをかぶり、
ゆかたは、だらしなく着崩れている。

胸が、目いっぱいはだけて、
そもそも長身の彼には、
浴衣のサイズが、合っていなかったのだ。

一瞬、筋肉質の胸に、目が止まったが、

天音は平静を装い、鍋のふたをあけた。
もわもわの湯気と、
だし醤油の匂いが室内に広がる。

久遠は、大きく深呼吸した。

「へぇーーー鍋かぁ、
うまそうだな。
ずーーーっと、機内食とカレーの匂いで、来たからな」

久遠は、どっかりとあぐらで座ると、
「しょうゆとか、味噌の匂いも
日本の匂いだよね」

ニコニコして、箸を取った。

「俺さ、母親が日本人なの。
だから、肉じゃがとかさ、
お好み焼きとソースとか、

小さい頃、いっぱい作ってくれたよ」

何かを思い出すように、
目を細めた。

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