妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
「異界の住人でしょうか。
小さなこどもの妖怪のようです。
私は、祖母から聞いたのですが、

明治時代、
祖母が、まだ幼い頃の話ですが・・・」

久遠の箸が、宙で止まっている。

「こどものキャッキャッ、笑う声と、
パタパタ走る音がするので、
祖母が、誰か遊びに来ているのかと、ふすまを開けると、
誰もいない。

ふすまを閉めると、また笑い声が聞こえる。

廊下に回ると、
障子に、男の子と女の子が、
追いかけっこしている影が、映っている。」

ヒュウーーー

風の音が、古い窓を鳴らし、
効果音をもたらした。

「グェェエェエェーー」
久遠が奇妙な悲鳴をあげて、
飛び跳ねた。

「やだやだ・・・!!
天音ちゃん!!」
久遠が、正座している天音に抱きついた。

ヒューー、ガタガタ

風が強くなっているのだろう。
立て付けの悪い窓枠が、泣くように音をたてる。
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