妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
もみじの庭
天音は、気持ちを立て直して、
久遠を、庭に案内した。
「このお庭は、
紅葉(こうよう)が素晴らしいです。
秋には<紅葉狩り>といって、
池のそばで、大勢の人を招いて、
パーティも開いたようですね。
写真も残っています。」
天音の説明に、
久遠は、同意のうなずきをして
言った。
「緑のもみじも、すごくきれいだね」
天音はしゃがんで、
幾枚かのもみじの落ち葉を拾って、比較するように、手の平に
のせた。
「ええ、祖父は、もみじにこだわりがあって、
珍しい種類を庭師に捜させて、
植えてきたようです。
よく見ると、葉の大きさや形、
色がずいぶんと違いますよ」
日陰の地面は、緑のグラデーション、
美しい苔に覆われて、水滴が、
木漏れ日に輝いている。
「へぇーー、苔ともみじか、
いいね。
こだわりを感じる庭だ」
カシャッ、カシャッ
久遠は、スマホでいろいろな
アングルで、写真を撮りまくっている。