妖怪ホテルと加齢臭問題(天音と久遠)
ヘッドハンティングの条件
仕事終わりの夕方、
天音は、紺のスーツ姿で花束を
持って、病院の受付に行った。
「あの、タカハラ、リッジモンドさんのお見舞いできたのですが」
受付の女性は、手元の書類に目を落として確認をしてから、
「特別室でございます。ご案内いたします」
と、席を立った。
その部屋は、
エレベーターの最上階、ホテルのようなしつらえだった。
「失礼します。
三角様がお見えになりました」
窓が大きくとってあり、眺望のよい、豪華な部屋。
中央のベッドで、点滴につながれながらも、
久遠が上半身を起こして、本を読んでいた。
「こんにちは、ご無沙汰しております」
天音は、入り口で頭を下げた。
「天音ちゃん、よく来てくれたね。
こっちにどうぞ」
顔を上げ、久遠がうれしそうに、手招きをした。
天音が、ベッドサイドの椅子に
座ると
「いやぁ、
海外をウロウロしていたつけが、まわってさ、
水とか氷とか、注意していたんだけど」