叶わぬ恋だと分かっていても
お母さんの言葉
『なのちゃん、仕事が終わったらうちに来なさい。いいわね?』
お母さんから有無を言わせぬ口調でそんな留守電が入っていた今日。
私はなおちゃんとの電話を切ったあと、なかなか踏ん切りがつかなくて、車の中に一人ぼんやり座っていた。
日頃はのほほんとしているお母さんの聞き慣れない声音に、私はソワソワしてずっと心がざわついている。
何か悪いことが起こったとしか思えない。
一人暮らしで家を出ている私と違い、未だ実家住まいをしている姉のことをふと思い出した私は、姉に聞いてみることにした。
『あんた、悪いことするときはバレないようにやらなきゃダメじゃない。お母さん、相当悩んでたよ?』
開口一番溜め息混じりに姉がそう言って。
私はなおちゃんとのことが母にバレたことを知った。
「な、んで……」
――分かったのかな?
そう続けたかったけど、喉がカラカラに乾いて紡げなかった。
だけどお姉ちゃんはちゃんと察してくれたみたい。
『菜乃香、昨日うちにお土産持ってきたでしょ? あん中にホテルの領収証が入ってたのよ。相手の名前入りの……』
お母さんから有無を言わせぬ口調でそんな留守電が入っていた今日。
私はなおちゃんとの電話を切ったあと、なかなか踏ん切りがつかなくて、車の中に一人ぼんやり座っていた。
日頃はのほほんとしているお母さんの聞き慣れない声音に、私はソワソワしてずっと心がざわついている。
何か悪いことが起こったとしか思えない。
一人暮らしで家を出ている私と違い、未だ実家住まいをしている姉のことをふと思い出した私は、姉に聞いてみることにした。
『あんた、悪いことするときはバレないようにやらなきゃダメじゃない。お母さん、相当悩んでたよ?』
開口一番溜め息混じりに姉がそう言って。
私はなおちゃんとのことが母にバレたことを知った。
「な、んで……」
――分かったのかな?
そう続けたかったけど、喉がカラカラに乾いて紡げなかった。
だけどお姉ちゃんはちゃんと察してくれたみたい。
『菜乃香、昨日うちにお土産持ってきたでしょ? あん中にホテルの領収証が入ってたのよ。相手の名前入りの……』