叶わぬ恋だと分かっていても
ピンポーンとチャイムが鳴って、私はノロノロと重い頭を持ち上げる。
別にテレビをつけているわけでも部屋の照明を付けているわけでもない。
このまま大人しくしていたら居留守、使えちゃうかな?
そんなことを思って息を殺していたら、「菜乃香、外に車があるし、いるんだろう?」と声が掛かって。
私は条件反射のように飛び起きて、玄関に向かった。
ドアスコープを覗くまでもなく、声の主がなおちゃんなのは分かっている。
ドア越し、鍵を開けるべきか否かを迷ってドアノブを握りしめていたら、外の声が続く。
「菜乃香。とりあえず、中に入れてくれないか? お前とちゃんと話し合いたいんだ……」
――菜乃香がスマホの電源を切ってしまっているから、話したくても話せない。
そう続けられても仕方ないと思うのに、なおちゃんはそこに関しては責めてこなかった。
私は、恐る恐る鍵を開けた。
別にテレビをつけているわけでも部屋の照明を付けているわけでもない。
このまま大人しくしていたら居留守、使えちゃうかな?
そんなことを思って息を殺していたら、「菜乃香、外に車があるし、いるんだろう?」と声が掛かって。
私は条件反射のように飛び起きて、玄関に向かった。
ドアスコープを覗くまでもなく、声の主がなおちゃんなのは分かっている。
ドア越し、鍵を開けるべきか否かを迷ってドアノブを握りしめていたら、外の声が続く。
「菜乃香。とりあえず、中に入れてくれないか? お前とちゃんと話し合いたいんだ……」
――菜乃香がスマホの電源を切ってしまっているから、話したくても話せない。
そう続けられても仕方ないと思うのに、なおちゃんはそこに関しては責めてこなかった。
私は、恐る恐る鍵を開けた。