叶わぬ恋だと分かっていても
四月に人事異動がある直前の三月末。彼が仕事を休みがちになることに、私は付き合い始めて割とすぐ、気付かされた。
あれは確かなおちゃんとこういう間柄になって二年目の春。
なおちゃんの〝それ〟がすごく酷くて――それまでは仕事後には毎日のように会えていたのに、「今は誰とも会いたくないんだ。ごめん」と言われて一ヶ月ほど会えなくなってしまった時期がある。
実際その頃、一ヶ月ぐらい傷病休暇という形でなおちゃんは仕事も休んだ。
普通の彼氏・彼女の関係なら、そんな時、相手がなんと言おうと家に乗り込んで行くことが出来るのに、私たちはそさえ許されない関係だったから。
それは、なおちゃんが私を拒絶して自宅に引きこもってしまったら、全く会えなくなってしまうんだと、私に現実を突きつけてくる期間でもあった。
電話も、「菜乃香からは掛けないで欲しい。俺から連絡するのを待っていて欲しい」と言われて。
そんなことを言いながらも、なおちゃんは「菜乃香の存在だけが俺の救いだから」と言って、まるでそれを証明するように夜になると毎日のように電話を掛けてきてくれた。
それがなかったら、私の方も心配で潰れていたと思う。
あれは確かなおちゃんとこういう間柄になって二年目の春。
なおちゃんの〝それ〟がすごく酷くて――それまでは仕事後には毎日のように会えていたのに、「今は誰とも会いたくないんだ。ごめん」と言われて一ヶ月ほど会えなくなってしまった時期がある。
実際その頃、一ヶ月ぐらい傷病休暇という形でなおちゃんは仕事も休んだ。
普通の彼氏・彼女の関係なら、そんな時、相手がなんと言おうと家に乗り込んで行くことが出来るのに、私たちはそさえ許されない関係だったから。
それは、なおちゃんが私を拒絶して自宅に引きこもってしまったら、全く会えなくなってしまうんだと、私に現実を突きつけてくる期間でもあった。
電話も、「菜乃香からは掛けないで欲しい。俺から連絡するのを待っていて欲しい」と言われて。
そんなことを言いながらも、なおちゃんは「菜乃香の存在だけが俺の救いだから」と言って、まるでそれを証明するように夜になると毎日のように電話を掛けてきてくれた。
それがなかったら、私の方も心配で潰れていたと思う。