叶わぬ恋だと分かっていても
 その親不孝の罰が当たっている(ツケが回ってきた)気がして、今度こそなおちゃんよりもお母さんを優先せねば、と思っていた。

 なおちゃんも、事情が事情だからとワガママは一切言わずに私のペースに合わせてくれて。

 優柔不断な私は、母に対する罪悪感に加えて、なおちゃんに対する申し訳なさまで育ててしまった。

 そんな後ろめたさもあったんだと思う。

 奥さんとはセックスレスだと話してくれていたたなおちゃんの、性欲処理をしてあげなくてはという変な義務感に駆られて。

 会える頻度(ひんど)が毎日から週一程度に下がったというのに、私は彼との会話を楽しむよりも、なおちゃんの性衝動を受け止めることに全力を注いだ。

 顔を見れば、彼に求められるまま身体を開く――。

 それは生理中だってお構いなしで。

 ラブホテルのお風呂場で、経血に(まみ)れて初めてなおちゃんを受け入れたのは、まさにこの頃だった。

 前までは生理中の行為はリスクが高いからって抱いてくれなかったくせに。

 なおちゃんもきっと、会えなさ過ぎておかしくなっていたんだと思う。

 行為のあとお風呂場で洗い流せば大丈夫だと、まるでそれを免罪符にしたみたいに(むさほ)り合うことに、最初こそ抵抗を覚えた私も、彼に激しく求められ、最奥までこじあけられ貫かれているうち、だんだん感覚が麻痺してきてしまった。
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