叶わぬ恋だと分かっていても
なおちゃんの愛車のワンボックスカーには運転席との間に黒いカーテンがあって、それを閉めればフロントガラスの方からも後部座席が隠されてしまう。
加えてフロントとフロントドア以外―セカンドとリアシートに面した窓全てが濃いスモークフィルムに覆われていたから。
運転席との境目のカーテンを閉めてしまうと外からは車内が全然見えなくなるのだ。
一度、不安に駆られて外から覗いてみたことがあるけれど、顔を窓ガラスにくっ付けてじっと目を凝らしてやっと……シートなどが見える感じだった。
前の席からセカンドシートに異動するなりすぐ、なおちゃんがギュッと私を抱きしめてきて、耳元で「俺、久々に菜乃香を抱きたいんだけど」ってささやいてきた。
いつもの私ならこのまま流されるようにうなずくんだけど――。
「あのね、なおちゃん、今日は聞いて欲しいことがあるの」
首筋に口付けを落とすなおちゃんからそっと身体を離すと、彼の顔を真正面から見据える。
「聞いて欲しいこと?」
例え何か話したいことがあったとしても、私たちはエッチをしながら息をするみたいに会話をするのが常だったから、改まってそんなことを言われたことになおちゃんも驚いたみたい。
「――きっとそれは俺にとってろくな話じゃないんだろうね」
吐息を落として居住まいを正した。
加えてフロントとフロントドア以外―セカンドとリアシートに面した窓全てが濃いスモークフィルムに覆われていたから。
運転席との境目のカーテンを閉めてしまうと外からは車内が全然見えなくなるのだ。
一度、不安に駆られて外から覗いてみたことがあるけれど、顔を窓ガラスにくっ付けてじっと目を凝らしてやっと……シートなどが見える感じだった。
前の席からセカンドシートに異動するなりすぐ、なおちゃんがギュッと私を抱きしめてきて、耳元で「俺、久々に菜乃香を抱きたいんだけど」ってささやいてきた。
いつもの私ならこのまま流されるようにうなずくんだけど――。
「あのね、なおちゃん、今日は聞いて欲しいことがあるの」
首筋に口付けを落とすなおちゃんからそっと身体を離すと、彼の顔を真正面から見据える。
「聞いて欲しいこと?」
例え何か話したいことがあったとしても、私たちはエッチをしながら息をするみたいに会話をするのが常だったから、改まってそんなことを言われたことになおちゃんも驚いたみたい。
「――きっとそれは俺にとってろくな話じゃないんだろうね」
吐息を落として居住まいを正した。