叶わぬ恋だと分かっていても
キスにしても告白された日にされたっきり。
手を出されないことで、いつの間にか私、ある意味安心していたの。
デート自体いけないことだと分かっていながら、身体のラインさえ越えなければセーフだと言えるんじゃないかとバカなことさえ思っていて。
私は本当に愚か者だ。
ぼんやりと霞のかかったような頭で、緒川さんを見上げて「ホテル……?」とつぶやく。
自分の声が、自らが発したものじゃないみたいに遠くで聞こえて、ああ、まずいなって頭の片隅で冷静な私が警鐘を鳴らした。
ホテルはダメ。
そこはボーダーラインの向こう側の行為をする場所だから。
そう思うのに、
「そう、ホテル。もちろん、菜乃香が嫌がるようなことは絶対にしないって誓うよ。――ダメ、かな?」
肩を抱いた私の耳元、甘く落ち着いた低い声音で強請るようにそう問いかけてくるの、本当にズルイ。
私はその声に流されるように
「休むだけなら……」
そう、答えてしまっていた。
手を出されないことで、いつの間にか私、ある意味安心していたの。
デート自体いけないことだと分かっていながら、身体のラインさえ越えなければセーフだと言えるんじゃないかとバカなことさえ思っていて。
私は本当に愚か者だ。
ぼんやりと霞のかかったような頭で、緒川さんを見上げて「ホテル……?」とつぶやく。
自分の声が、自らが発したものじゃないみたいに遠くで聞こえて、ああ、まずいなって頭の片隅で冷静な私が警鐘を鳴らした。
ホテルはダメ。
そこはボーダーラインの向こう側の行為をする場所だから。
そう思うのに、
「そう、ホテル。もちろん、菜乃香が嫌がるようなことは絶対にしないって誓うよ。――ダメ、かな?」
肩を抱いた私の耳元、甘く落ち着いた低い声音で強請るようにそう問いかけてくるの、本当にズルイ。
私はその声に流されるように
「休むだけなら……」
そう、答えてしまっていた。