叶わぬ恋だと分かっていても
「中、慣らしたりしてないけど……平気?」

 クロッチを横にずらされて、(ぬめ)りを帯びた秘裂を指の腹でやんわりと擦られる。

 普段は下着に隠された、一番敏感な陰核(ところ)をぬめりをまとった指の腹で押しつぶすように撫でられた瞬間、電撃が走ったみたいに快感が突き抜けた。

「ひ、……ぁっ」

 恥ずかしいなんて気持ちは、その瞬間に吹き飛んでしまったみたい。

「平気……。私、たっくんと……早く結ばれたいっ」

 自分からねだるようにたっくんに口付けて彼を見下ろしたら、
「……菜乃香(なのか)、ごめん。自分から言っといて恥ずかしいんだけど……僕、いま正常位は無理だから。――菜乃香の方から僕の上に座ってもらっても……いい、かな?」
 そう問いかけられた。

 たっくんが出来ないことは私が補う。

 それは最初に二人で取り決めたことだもん。

 コクッとうなずいたら、たっくんがそれを確認してベッドサイドからゴムを取り出した。

 たっくんが慣れた手つきで自身に避妊具を装着している間、私はそろそろと下着を脱ぎ捨てる――。

建興(たつおき)くん……大好き……」

「僕もなのちゃんが大好きだよ」

 気持ちを確かめ合うようにそんな言葉を交わして、たっくんと向かい合う形で彼の上にまたがった。

 そうして――。
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