叶わぬ恋だと分かっていても
***

「ごめん、なんか僕……」

 私が嬉しいって思うたび、自分では分からないけれど膣内(なか)がキューッと締まって、たっくんを責め立ててしまっていたみたい。

 瞳を涙で潤ませたたっくんの謝罪に、私はフルフルと首を横に振る。

 だって、たっくんとの情交はなおちゃんとのそれと違って、何だかすごく《《心が》》満たされて幸せで。

 誰にはばかることなく、心の底からこの人のことを好きだと言っていいんだと思える相手との交わりが、こんなにも気持ちいいなんて……私、知らなった。

 きっと自分では意識しないようにしていたけれど、心の中、いつも後ろめたい気持ちがなおちゃんを好きだと言う気持ちに歯止めをかけていたんだと思う。

 それが快感にもブレーキを掛けていたのかな。
 こんなに満たされた気持ち良さは初めての経験だった。

 たっくんがゴム越し。
 呆気ないほどあっという間に私の最奥で果ててしまったのを知った時にも、私はそんな風に私で気持ち良くなってくれたたっくんのことが愛しくて堪らなくて。

 全然「もう?」とか「まだ私、満足できてないのに」とか……そういう不満が湧いてこなかった。

 ばかりか――。

「私、たっくんが奥まで来てくれただけで凄く気持ちよくなっちゃったの。だから……」

 お相子だよ?

 と言外に含ませる。
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