叶わぬ恋だと分かっていても
 恥ずかしくて明言は出来なかったけれど、私、たっくんを受け入れた時点で一度軽く()ってしまっていたから。

 果てた早さで言うと、私の方が断然先だったわけで。


 たっくんが自身の根元をゴムごとグッと押さえてくれているのを確認して、私は中に避妊具が残ってしまわないよう気を付けながら慎重に腰を上げた。

「ぁんっ」

 男性のモノが()えてしまっていても、自分の中から異物が抜ける瞬間と言うのは、好いところがこすられてたまらなくゾクゾクしてしまう。

 私が小さく(あえ)いで吐息を落としたら、吐き出した精液の溜ったゴムをまとったままのたっくんのがまた大きくなっているのが分かって。

「……たっくん?」

 後処理をするたっくんの手許(てもと)を熱に浮かされた頭でぼんやり見詰めながら呼び掛けたら、「ねぇ菜乃香(なのか)。もう一回したいって言ったら……イヤ?」とか。

 そんな風におねだりされて、拒めるわけない。


 二度目は一度目より長く私の中をかき回してくれたたっくんに、自身が上になっているくせに私は翻弄(ほんろう)されまくりだった。

 ギュウッとたっくんにしがみ付いて、何度達したか分からない。

 明日仕事に行かないといけないなんて言う常識的なことが頭から飛んでしまう程度には、私もたっくんも、初めて結ばれた喜びに陶酔しきっていた――。
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