叶わぬ恋だと分かっていても
***

 なおちゃんから電話が掛かってきた翌日。

 仕事から帰って来たたっくん二人、夕飯を済ませて隣り合わせ。

 座布団に座って愛フェレットの直太朗と遊んでいたら、テーブルの上に放置していた私のスマートフォンがブブブ……ブブブ……と振動しているのに気が付いた。

 ぴょんぴょんと斜め横っ飛びをしながら楽しそうにククククッと声を上げる直太朗から視線を逸らすと、私は机上からスマホを取り上げる。

「あ……」

 そうして明るくなった画面を見て、思わず声を漏らした。

「どうしたの?」

 その声に、たっくんが反応する。

「別に大したことじゃないの。ただ……今日この番号からの着信、四回目だなって思って……」

 私は番号のみが表示された画面を見せながらたっくんに事情を説明した。

 直太朗が「遊んで?」と飛び掛かってくるのを軽くいなしながら、私はスマートフォンの画面を見詰めて吐息を落とす。

 着信履歴に表示されたその番号は携帯電話からのもので。
 どうやら電話帳に未登録の番号らしく、名前などの表示はされていなかった。

「けど、知らない番号からなの」
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