叶わぬ恋だと分かっていても
 ここまでの道すがら、雨がポツポツとフロントガラスを濡らし始めて……。気が付けば、今では結構な雨量。

 外で話すのはもちろんのこと、葬祭会館の中で話すのもおかしいよねということで、なっちゃんの車の中で話をすることにした。


 初めまして、というありきたりなあいさつの後、ショートボブに髪の毛を切りそろえた細身のなっちゃんが、私に恐る恐る切り出した。

「私も……なおさんとお付き合いさせて頂いていました」

 私は小さくて少しぷにっとした印象のセミロングで、可愛い系だとよく言われる。

 対してなっちゃんは、スレンダーでシャープな印象のキャリアウーマンタイプ。

 全然雰囲気の違う私たちに、どうしてなおちゃんは手を出したんだろう?


 なっちゃんとなおちゃんの出会いは、なっちゃんがなおちゃんの勤めるごみ処理場第一工場へ嘱託職員として配属されたことが切っ掛けらしい。

 私より四つ年下のなっちゃんは、十八歳の時に結婚をして、二人の男の子にも恵まれていると言う。

 子供の年齢こそ(とお)以上離れているとはいえ、なおちゃんも二人の男の子の父親ということで、最初は子育てなんかの相談に乗ってもらっていたらしい。
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