叶わぬ恋だと分かっていても
 舌と舌を擦り合わされて、絡められて、かき混ぜられて。
 時折チュッと緩急をつけるように舌全体を吸い上げられるたび、ジン、とした甘い痺れが身体を跳ねさせる。


 口蓋(こうがい)をやんわり舐め上げられた瞬間、くすぐったいのか気持ちいのか分からなくて涙が溢れた。


「やっ、ぁん、……お、がわ、さ――っ」


 ギュッと緒川(おがわ)さんの二の腕にしがみつくように手指に力を込めて耐えるけれど、鼻を抜けるような甘えた声が抑えられない。


「あ、……えっ?」

 と、不意に背骨に沿って《《じかに》》手指を這わされた気がして、私はハッとする。


 いつの間にかシャツワンピースの前ボタンが腰元辺りまで外されて、肌が露わになっていた。

 上下お揃いの薄桃色のブラとショーツが視界に入って、「隠さなきゃ!」て思ったのと同時、背中に回されていた緒川(おがわ)さんの手が、ブラのホックを片手でいとも簡単に外してしまう。

 ユルッと締め付けがなくなった気配に(おのの)いて、私は思わず緒川さんにギュッとしがみついた。

 そうしなければ支えを失った胸の色付きを、彼の前に無防備にさらしてしまうと思ったから。
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