叶わぬ恋だと分かっていても
「えっ?」
一瞬、私はなっちゃんが何を言っているのか理解出来なかった。
だってそれってまるで――。
「ごめんなさい。菜乃香さんを責めているわけじゃないんです。ただ……」
なっちゃんはなおちゃんに、『そんなにしんどいんなら私が菜乃香さんに連絡してあげるよ?』と話したらしい。
なおちゃんの手首に刃物の傷が増えるたび、なっちゃんは何度も私に連絡しようと思ったんだとか。
でもその度に『菜乃香にだけは知られたくない』『せっかく俺から離れられた菜乃香に負担は掛けたくない』となおちゃんに言われて二の足を踏んでいたと言う。
それでももう一度同じことが起こったら今度こそ私に連絡しようと思って……。
なっちゃんは私の電話番号をこっそりなおちゃんの携帯から盗み見てメモしていたらしい。
なおちゃんの携帯のロック番号は、変わっていなければ0912の四桁。私の話をことある毎にしていたというなおちゃんが、なっちゃんに0912を話していても不思議ではなかった。
私となおちゃんの誕生日十月十日がちょうど丸五週間離れていて、毎年お互いの誕生日の曜日が同じことなどもセットで話していたとしたら、彼女の中での記憶はより強固なものになっていたはずだ。
ロックを掛けた上でなおちゃんはきっと、都度都度浮気相手との着信履歴やメールなどに関しては証拠隠滅を図っていたんだとは思う……。
一瞬、私はなっちゃんが何を言っているのか理解出来なかった。
だってそれってまるで――。
「ごめんなさい。菜乃香さんを責めているわけじゃないんです。ただ……」
なっちゃんはなおちゃんに、『そんなにしんどいんなら私が菜乃香さんに連絡してあげるよ?』と話したらしい。
なおちゃんの手首に刃物の傷が増えるたび、なっちゃんは何度も私に連絡しようと思ったんだとか。
でもその度に『菜乃香にだけは知られたくない』『せっかく俺から離れられた菜乃香に負担は掛けたくない』となおちゃんに言われて二の足を踏んでいたと言う。
それでももう一度同じことが起こったら今度こそ私に連絡しようと思って……。
なっちゃんは私の電話番号をこっそりなおちゃんの携帯から盗み見てメモしていたらしい。
なおちゃんの携帯のロック番号は、変わっていなければ0912の四桁。私の話をことある毎にしていたというなおちゃんが、なっちゃんに0912を話していても不思議ではなかった。
私となおちゃんの誕生日十月十日がちょうど丸五週間離れていて、毎年お互いの誕生日の曜日が同じことなどもセットで話していたとしたら、彼女の中での記憶はより強固なものになっていたはずだ。
ロックを掛けた上でなおちゃんはきっと、都度都度浮気相手との着信履歴やメールなどに関しては証拠隠滅を図っていたんだとは思う……。