叶わぬ恋だと分かっていても
ポロポロと涙をこぼして棺の中の彼を見つめるなっちゃんを支えるようにして……私はぼんやりと(どうして私、こんなに悲しいのにちっとも泣けないんだろう)とそればかりを考えていた。
別れ際、なっちゃんに「菜乃香さんはもうなおさんのこと、何とも思ってらっしゃらないんですね。一粒も涙を流さないなんて……何だかなおさんが可哀想です」と強い目で責められたけれど……。
私はそれを否定することも肯定することもせず、無言のままなっちゃんに深く深くお辞儀をして、彼女とさよならをした。
きっとなっちゃんは、いつもなおちゃんから存在をアピールされまくっていた〝戸倉菜乃香という存在〟を確認して、なおちゃんには私だけじゃなく〝古田夏美という恋人〟もいたんだと一矢報いたかったんだろうな。
なっちゃんは懸命にひた隠しにしていたけれど、端々に漏れ出る私に対する敵意をひしひしと感じて、私はそんな風に思った。
なっちゃん。
貴女の作戦はきっと大成功だよ。
今はたっくんという大切な伴侶がいるくせに、私は少なからずなおちゃんに《《裏切られていた》》という事実にショックを受けているのだから。
別れ際、なっちゃんに「菜乃香さんはもうなおさんのこと、何とも思ってらっしゃらないんですね。一粒も涙を流さないなんて……何だかなおさんが可哀想です」と強い目で責められたけれど……。
私はそれを否定することも肯定することもせず、無言のままなっちゃんに深く深くお辞儀をして、彼女とさよならをした。
きっとなっちゃんは、いつもなおちゃんから存在をアピールされまくっていた〝戸倉菜乃香という存在〟を確認して、なおちゃんには私だけじゃなく〝古田夏美という恋人〟もいたんだと一矢報いたかったんだろうな。
なっちゃんは懸命にひた隠しにしていたけれど、端々に漏れ出る私に対する敵意をひしひしと感じて、私はそんな風に思った。
なっちゃん。
貴女の作戦はきっと大成功だよ。
今はたっくんという大切な伴侶がいるくせに、私は少なからずなおちゃんに《《裏切られていた》》という事実にショックを受けているのだから。