叶わぬ恋だと分かっていても
***
なおちゃんの葬儀には結局たっくんも列席してくれた。
一人で出向いてなっちゃんとまた鉢合わせになったら怖いと思っていた私は、たっくんが「僕も行くよ」と言ってくれた時、心底ホッとして。
それと同時。
妻の不倫相手のお葬式に出るだなんて、たっくんはどんな気持ちだろう、とも思った。
そんな私にたっくんが言ったのは、「今の菜乃香を一人には出来ないから」というもので。
私はたっくんが何故そんなことを言うのかその時には分からなかったのだけれど――。
なおちゃんの葬儀から数日。
日ごとになおちゃんはもうこの世にはいないんだという実感が強くなっていった私は、彼を自殺へ追いやってしまったのは自分だと信じ込むようになっていって。
なおちゃんのために何もしなかった私なんて、生きている価値がないとすら思うようになっていた。
心の片隅で、こんなことをしてはいけないと思いながらも、死んでなおちゃんにお詫びを言いに行かなくては、という相反する気持ちが日増しに強くなって。
たっくんはきっと、私よりもずっと私の中にあるそういうダメージを見抜いていたんだと、その時になってようやく気付かされた。
だからと言ってどうにもならないのが心なんだと思い知らされるみたいに、表面に出ている私はご飯を食べるのを拒否して、自傷行為に走って。
なおちゃんと同じように首をくくればきっとすぐに……。
そう思うのに、意気地なしの私はそこまでする勇気すら持てなかった。
死にたい自分と、死んではいけないと言う自分が心の中、ごくごく短い周期で攻防を繰り広げる。
なおちゃんの葬儀には結局たっくんも列席してくれた。
一人で出向いてなっちゃんとまた鉢合わせになったら怖いと思っていた私は、たっくんが「僕も行くよ」と言ってくれた時、心底ホッとして。
それと同時。
妻の不倫相手のお葬式に出るだなんて、たっくんはどんな気持ちだろう、とも思った。
そんな私にたっくんが言ったのは、「今の菜乃香を一人には出来ないから」というもので。
私はたっくんが何故そんなことを言うのかその時には分からなかったのだけれど――。
なおちゃんの葬儀から数日。
日ごとになおちゃんはもうこの世にはいないんだという実感が強くなっていった私は、彼を自殺へ追いやってしまったのは自分だと信じ込むようになっていって。
なおちゃんのために何もしなかった私なんて、生きている価値がないとすら思うようになっていた。
心の片隅で、こんなことをしてはいけないと思いながらも、死んでなおちゃんにお詫びを言いに行かなくては、という相反する気持ちが日増しに強くなって。
たっくんはきっと、私よりもずっと私の中にあるそういうダメージを見抜いていたんだと、その時になってようやく気付かされた。
だからと言ってどうにもならないのが心なんだと思い知らされるみたいに、表面に出ている私はご飯を食べるのを拒否して、自傷行為に走って。
なおちゃんと同じように首をくくればきっとすぐに……。
そう思うのに、意気地なしの私はそこまでする勇気すら持てなかった。
死にたい自分と、死んではいけないと言う自分が心の中、ごくごく短い周期で攻防を繰り広げる。