叶わぬ恋だと分かっていても
「ねぇ、菜乃香(なのか)。――さすがにそんな格好でしがみつかれたら、我慢できなくなるんだけどな……?」


 ふっ……と溜め息混じりに眉根を寄せられて、私は慌てて彼から離れる。


 けれど、それと同時にベッドへ押し倒されていた。


「お、がわ……さ……っ!?」

 横たわった拍子にブラがずり上がって、胸の膨らみがホロリと(まろ)び出る。

 それを隠そうと咄嗟に持ち上げた手が、そっとベッドに縫いとめられて。

「隠さないで?」

 懇願するように強請(ねだ)られた私は、どうしたらいいのか分からなくなる。


 緒川(おがわ)さんは私の嫌がることはしない、と約束してくれた。


 だったら今の状況は……どうなの?
< 24 / 242 >

この作品をシェア

pagetop