叶わぬ恋だと分かっていても
誰にも「この人とお付き合いしています」って紹介できない宙ぶらりんの恋人に、中途半端な責務しか負わない非正規雇用の仕事。
私、何ひとつ地に足が着いていないじゃないって心の片隅で思うようになって。
現状、彼と別れることなんて考えられないって分かっているから……。
だからせめて仕事くらいは正社員で雇ってくれるところに行こうって思ったの。
スッと口の中からなおちゃんの指が抜き取られて、名残惜しそうに、溢れた唾液を唇にゆるゆると擦り付けられる。
そんな彼の手をギュッと握って止めると、真正面からなおちゃんをじっと見つめて言葉を紡いだ。
「――そ、それでね。仕事が落ち着いたら私、実家を出ようと思ってるの」
その言葉に、なおちゃんが「ひとり暮らしでもはじめるつもりか?」って聞いてきて。
問われるなり不意に腰を抱えられて、下から深く突き上げられた私は、彼の肩についた手と、捉えたままの手首を握る指先にギュッと力を込める。
「んっ、ぁ。……そ、の……つもり……ッ」
私がひとり暮らしを始めたら、こんな風に車の中でしなくてよくなる。
外から中を覗いたことがあるから、こんなことをしていても誰にも見えっこないというのは知っている。
けれど、それでもやっぱりいつも車で、なんて落ち着かないよ。
私、何ひとつ地に足が着いていないじゃないって心の片隅で思うようになって。
現状、彼と別れることなんて考えられないって分かっているから……。
だからせめて仕事くらいは正社員で雇ってくれるところに行こうって思ったの。
スッと口の中からなおちゃんの指が抜き取られて、名残惜しそうに、溢れた唾液を唇にゆるゆると擦り付けられる。
そんな彼の手をギュッと握って止めると、真正面からなおちゃんをじっと見つめて言葉を紡いだ。
「――そ、それでね。仕事が落ち着いたら私、実家を出ようと思ってるの」
その言葉に、なおちゃんが「ひとり暮らしでもはじめるつもりか?」って聞いてきて。
問われるなり不意に腰を抱えられて、下から深く突き上げられた私は、彼の肩についた手と、捉えたままの手首を握る指先にギュッと力を込める。
「んっ、ぁ。……そ、の……つもり……ッ」
私がひとり暮らしを始めたら、こんな風に車の中でしなくてよくなる。
外から中を覗いたことがあるから、こんなことをしていても誰にも見えっこないというのは知っている。
けれど、それでもやっぱりいつも車で、なんて落ち着かないよ。