叶わぬ恋だと分かっていても
***

 夕方。
 私の実家近くにある、隣県に本社のあるショッピングモールの平面駐車場の一角で、私はなおちゃんの車の横に自分の軽自動車を停めた。

 20近い専門店と、スーパーからなるこのショッピングモールは、私が幼稚園児の頃に本館が出来、どんどん拡張して西館、南館などが新設された。

 そのくせ立体駐車場などは有しておらず、とにかくだだっ広い平面駐車場――収容台数数百台――の一角に、ホームセンターやファーストフード店などが点在している、地元民御用達(ごようたし)のモール。

 駐車場内にアレコレ別の店舗が入っているおかげで、モールに用がなくて駐車していても目立たない。
 その上駐車料金も終日無料。
 駅近の立地も手伝って、ここの駐車場に車を停めて電車で県外に遊びに行く人も多い。


 私が転職してからは、ここが私となおちゃんの定番の密会場所になっていた。
< 44 / 242 >

この作品をシェア

pagetop