叶わぬ恋だと分かっていても
 なおちゃんと私を繋いでくれた子だから、思い入れは強いけれど、あの子はかれこれ1年半、両親にもすごく可愛がられている。

 今更慣れた家から連れ出すのも可哀想って思った。


「じゃあ、チィコ?」

 20歳を越えたオッドアイの白猫の名前をあげられて、「まさかっ」とそれにも首を横に振った。

「チィコ、下手に環境変えたら弱っちゃうよ」

 猫の20歳越えはかなりのおばあちゃんだもの。

 言ったら、「じゃあ、誰を?」って聞かれて、私は脱衣所に置いていたスマートフォンを手に取った。


「この子を……お迎えしたいなって思ってて……」

 狸みたいなお顔をしたフェレットの写真を見せたら、なおちゃんが瞳を見開いた。

「何、これ?」

 なおちゃんが不思議に思うのも無理はない。

 フェレットは、犬猫に比べたら知名度の低いペットだもんね。

「フェレット。イタチ科の生き物だよ」

 言ったら、なおちゃんが「イタチ……」って小さくつぶやいた。
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